Hiroshige Nakamura

2022年1月8日5 分

夜中に書いたラブレター

最終更新: 2022年1月14日

11月のある日、兼ねてより集まりたいと考えていた方々と岡山県の南西部に位置する笠岡諸島の一つ真鍋島へ行ってきた。

集まったのは、真鍋島出身のじろうさん、アートディレクターの有田さん、神戸と福岡でメリケンバーバーショップを展開する結野さん、ワークウェアの寅壱から村上さん、そして僕の5人。

僕を除くと集まった4人は、それぞれの家業を継承して紡ぐ立場の面々。

この記事を読んでくださる2代目以降の理容師さん達との共通点や苦悩、そしてそんな立場に置かれた方々の魅力などを少しだけ理解できた気がしました。

今日はそんな1日をシェアしたいと思う。

index
 
1, 理想の理容師像
 
2, 岡山県の南西部にある真鍋島へ
 
3, 漁火の生簀
 
4, 活け造りのタコ
 
5, 食事とは何か?
 
6, 彼らと過ごした時間
 
7, 家業継承をどう考えるべきか?の考察

1, 僕の理想の理容師像

その前に、僕自身の話を少し。

昔、登下校の際に見かけた理容師のおじさんについて。

朝、椅子に座って新聞を読み、夕方通りかかると椅子を倒して昼寝してる。

休日には顧客なのか友達なのか分からないおじさんの溜まり場になり、僕の頭を切っている最中でも他のおじさんと釣りやパチンコの話で盛り上がったら散髪を中断することもしばし。

でも、それが自分が憧れた理容師像。

自分と気の合う顧客だけと付き合い、時間さえあれば釣りに出かけたり、境目が曖昧な趣味と実益を兼ねたことに興じる日々。

人それぞれ理想的な生き方はあるだろうけど、僕は自由に生きたいと願う。

その一方、事業継承をす2代目以降の後継には苦悩がつきものなのかもしれない。。

  • 先代との世代交代

  • 意見が通らない。。

  • 創業者とは違う時代背景

  • お客様の入れ替わりが進まない

  • 過疎化の歯止めが効かない地方

  • 高すぎる周囲からの期待

  • 家族経営故に気が休まる時間がない

  • 先代との口論

などなど。。

ネガティブな事情は書き出せばキリがないかもしれないけど、四人と話すうちに、普段感じていた彼らの共通点は、突破口の一つになりうる重要なファクトなんじゃないかと思った。

2, 岡山県の南西部にある真鍋島へ向かう

僕らは倉敷市の児島に集合した。

児島は僕と村上さんのフッド。

そこから船に乗り込み、瀬戸大橋をくぐり抜けて笠岡諸島の一つ、真鍋島へ向かった。

真鍋島は、島の海苔産業と家業をアップデートして世界中に展開しているノリノリキングのじろうさんの故郷。

じろうやの海苔は本当にぶっ飛べるので、ぜひ買ってみてください。

じろうやHP

http://jiroya.jp

3, 漁火の生簀

島に近づくにつれ、その独特な景色に心が躍る。

上陸して最初に目に飛び込んできたのは、港に浮かぶ生簀。

この中にこれからいただく鮮魚が泳いでいる。

4, 活け造りのタコ

今回お邪魔した「漁火(りょうか)」は、飾ることないその佇まいからも期待せずにいられない。

そして一発目からくらったのがタコの活け造り。

タコといえば、地元児島の下津井ダコが有名だし、これまで幾度もうまいタコは食ってきた自負があったが。。。

活け造りのタコに、こんなにやられるのは初めてだっった。

こればかりは画像では伝わらないので、上部に設置してる動画をぜひチェックしてみてください。

5, 食事とは何か?

港町で生まれ育った僕は、うまい鮮魚を食べた経験は多くの人たちよりも多いはずだ。

それなのに、なぜ40歳になる今まで本当の食事について気がつかないままでいたのか。。

いただきます🙏

生き物の命をいただくのが食事。

わかっていたようで体感する機会は少なかったように思う。

全ての生物は、他者を喰らいながら生命を紡いでいる。

それは、事業も同じなのかもしれない。

紡ぐことの重要性と本質の理解。

我々は後世に何を残してゆくべきなのか!?

6, 彼らと過ごした時間

いつも彼らと時間を共にすると感じることがある。

心底から彼らは優しい。

言葉の隅々から周囲への配慮や、時として過剰なまでに世話をしてくれる。

恐縮することも多いけど、彼らの包容力に甘えるのは、どこか居心地が良かったりもする。

きっと僕だけじゃないはず。

彼らの近くにいる人は、そういった印象を持っているのではないだろうか。

7, 家業継承をどう考えるべきか?の考察

そして、そんな彼らの優しさの源泉は、環境にあるんじゃないかと思った。

代々受け継がれる人への接し方や愛し方が表れているように感じる。

前述したように、それぞれが置かれた立場で家業を継承していかなければいけない彼らは、周囲の人が理解し難い苦悩を抱えているのだろうと思った。

同じ境遇にいるからこそ、分かり合えること、他人には相談しづらい悩みなどを共有することができる。

しかし、彼らは気丈に自由に振る舞ってみせる。

それは、皆からの期待を裏切らないためのポーズであることだって多いはずだ。

人々に愛情を注ぎ、育て、協力を得ることができるからこそ成立するのが商売。

そして、そんな折にふと近所の呑気な床屋のおじさんを思い出す。

人に優しく気ままに生きる床屋の家族。

お客様の子だ孫だと散髪で紡ぐ付き合い。

この度を通じて僕が感じた世襲する皆の共通点は

  • 器のデカさ(優しさ)

  • コミニュケーションのスキル(配慮と愛情)

  • 軸の強さ(揺るぎない教え)

それらが、大らかな人格を形成しているように感じた。

これからも小さな家族経営の床屋を愛でて生きてゆきたい。

peace✌️

タイトルをどうしようかと、悩んでいたけど、何度も動画を見返すうちに「夜中に書いたラブレター」のようにキモい仕上がりになっているなと。。

でも、本心だからしゃーない。


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