KEIKO

2019年12月21日4 分

僕が理髪店事業部でクラブメンバー制をやった訳

弊社の運営する「Men's Hair Atelier Soleil Levant(メンズ ヘア アトリエ ソレイユルヴァン)」では、完全会員制で営業しています。

なぜ、そうなるに至ったのか?そして、それはどのように進行しているのか?を動画でまとめました。

このblog内では、それらを書き起こしてまとめておきたいと思います。

零細理美容経営において、どなたかの参考になれば幸いです。

完全会員制になった経緯

そもそも、この完全会員制はどのように生まれたのか?

遡ること2007年ごろ、お客様の中に毎週通ってくださる方がおられました。

その方の為だけに「サブスクリプションサーヴィス」の提供を始めたことに端を発します。

サブスクリプションとは定期購入を意味し、つまり月額サーヴィスとして定額で散髪を提供することにしたんです。

そして、同じようなニーズがあるだろうお客様方に同じサーヴィスをご提案しました。

そうすると、10人前後のお客様が定額制に参加してくださりました。

しかし、結局それらのサーヴィスは2つの理由で破綻します。

定額制無制限の問題点

予約状況のパンクです。

あまりにも来店回数が増加してしまった為、定額制以外のお客様が来店する隙間がなくなってしまいました。

もう一つは、料金の低価格傾向です。

定額制では月額としては高額な設定になっていますが、利用頻度によって一回あたりの支払額相当は減額します。

運営する上では利益率が減少してしまい、労働生産性が低下していきます。

数年やってみて、このまま同じサーヴィスを継続したとしても非常に効率が悪いと感じました。

クラブメンバーシップの開発

2014年の移転を機に、定期的なメンテナンスというコンセプトを残しつつ、仕組みを一新していくことにしました。

それがクラブメンバーシップ(完全会員制)です。

その為には、お客様へのベネフィットをご理解していただく必要があります。

  1. 散髪の予定を店側が管理することにより、予約の取得にかかる手間を省く

  2. 支払いを一括もしくは定期引き落としで登録していただき支払いの手間を省く

  3. 何よりも適切な頻度での散髪を提供し、ヘアスタイルの維持を店側に任せる

ざっくり言うと、以上のようなお客さのメリット/ベネフィットを設定しました。

もちろん、この仕組みに全てのお客様が賛同してくださったわけではありません。

定期的なメンテナンスを望んでいたとしても、支払いコストの増加やスケジュール取得の困難さから店を離れるお客様が続出しました。

結果がどうなったか?と言うと、大幅な増益と経営の安定です。

顧客数は30%以上減少しましたが、売上は150~200%ほど増加し、営業利益率は大きく改善しました。

何よりも労働時間は、半分以下に減少し、自分の手が空くようになりました。

そして、一番大きな収益は、「自分の顧客は誰なのか?」を知ったことです。

*ターゲッティングやペルソナの項目で解説している記事もありますので、参照はblogページ右上のサイト内検索窓に「ターゲッティング」「ペルソナ」を入力してみてください。

誰のために店を運営するのか?

自分の店舗を愛してくださるお客様は誰なのか?

そして、自分の家族を支えていく上で、その原資を惜しみなく提供してくださる方は自分にとって"本当のお客様"だと思えるようになったわけです。

クラブメンバーシップの問題点と課題

全てがうまく回るわけではなく、クラブメンバーシップにもリスクが往々にしてあります。

間口が狭まりブランディングは強烈に効き、価値は高まりました。

しかし、新規の方については受け入れが難しくなり、将来的には様々な要因で減少する顧客数を補填することが難しいと感じています。

また、これらを従業員に引継ぎすることが大変に困難です。

今後は、そう言った課題に対してさらなる対策を施し、精度を高めていきたいと思います。

まとめ

零細理美容店舗にとって、低価格問題は大きな課題です。

そして、来店客数とその安定化も同時に解決すべき課題だと認識しています。

定額制やクラブメンバー制は、それら課題にクリティカルな効果を発揮しました。

急激に導入することはリスクが大きすぎますので、どうぞ皆様におかれましてはじっくりと検討し、3〜5年くらいの期間を設けて少しずつ導入してみてはいかがでしょうか?

導入の際には、暇が出やすい時間帯や曜日のみ適用し、新しいサーヴィスに賛同してくださるお客様を一人ずつ獲得していくことをお勧めします。

また、これらの検証結果は当ブログ内にて公開していきます。

最近発売されたこちらの書籍は、美容室開業と言うタイトルですが、すでに事業を営む零細店舗経営者(個人事業主)にとって非常に参考になると思います。

併せて参考にしてみてください。

peace.